こんにちは、Good Labの羽田です。
「エンジニアにもコミュニケーション能力が大事」
この言葉を聞いて、少ししんどくなる人も多いんじゃないでしょうか。
「自分は話すの得意じゃないし」
「人見知りだし、向いてないかも」
でも、現場と経営の両方を見てきて思うのは、
ここで言われている“コミュ力”に悩んでいる時点で、少しズレているかもしれないということです。
エンジニアに求められているコミュニケーションは、
世間でイメージされているものとは、だいぶ違います。
むしろ、その認識のズレが原因で、
現場で大きな問題が起きることすらあります。
今回は、その話を少しだけリアルに書いてみます。

まず最初に、はっきりさせておきたいことがあります。
エンジニアにとって一番まずいのは、「できないこと」ではありません。
本当に問題なのは、
できないことを、黙って抱え込むことです。
これは精神論ではなく、シンプルに“損害”の話です。
例えば現場でよくあるのが、
・分からないまま手を動かし続ける
・誰にも相談できずに時間だけが過ぎる
・気づいたら数日止まっている
この状態が何を引き起こすか。
本来なら5分で解決できたことが、数日単位の遅延になる。
途中で気づけたはずのリスクが、納期直前に一気に噴き出す。
そして最終的には、
チーム全体が巻き込まれる“火消し”になる。
これ、珍しい話じゃないです。
むしろ、どの現場でも一度は見たことがあるレベルの“あるある”です。
ここで、多くの人がこう思います。
「できないって言ったら、評価下がるんじゃないか」
この不安はすごく分かります。
でも、現場や経営の立場から見ると、評価は逆です。
早く「詰まりました」と言える人ほど、信頼されます。
理由は単純で、
リスクが“見える状態”になるからです。
・どこで止まっているのか分かる
・どれくらい影響が出そうか判断できる
・必要ならすぐフォローに入れる
つまり、
プロジェクトをコントロールできる状態になる。
逆に怖いのは、何も言わないことです。
順調なのか、詰まっているのか、何も分からない。
そしてある日突然、「間に合いません」が出てくる。
これはもう、リカバリーの余地がほとんどありません。
だからこそ、
「できません」と言える人の方が、圧倒的に任せやすい。
これは現場の本音です。
もう一つ、少し厳しい話をします。
できないことを隠す人は、成長の機会を失います。
会社やリーダーの視点で見ると、
・リスクが見えない
・フォローのタイミングが分からない
・任せていいラインが読めない
こういう状態になります。
その結果どうなるか。
“安全な仕事”しか回ってこなくなる。
一方で、
「ここ分かりません」
「ここ詰まりそうです」
と早めに出せる人はどうなるか。
少し難しい仕事でも任せられるようになります。
なぜなら、
「ダメになりそうな時は絶対に言ってくれる」
という安心感があるからです。
この差が、そのまま経験値の差になります。
ここまで読んで分かる通り、
エンジニアに求められているコミュニケーションは、
いわゆる“コミュ力”とは別物です。
本当に重要なのは、
自分のキャパシティや状況を、正直にシェアできる力です。
システム開発は、不確実性の連続です。
だからこそ、
個人の頭の中を「ブラックボックス」にしないことが
何より重要になります。
今どこまでできているのか。
どこで詰まっているのか。
何がリスクになりそうなのか。
それを曖昧にせず、そのまま外に出せること。
たとえば、
「ここ、今の僕の知識では判断できません」
「このスケジュールは、現状の懸念点を踏まえると厳しいです」
こうやって、自分の状態をそのまま共有できること。
これこそが、現場が一番求めているコミュニケーションであり、
プロジェクトを円滑に進めるための生命線です。
面白い話ができる必要はありません。
気の利いた冗談もいりません。
ただ、
自分が抱えている不確実性やリスクを、濁さずに差し出すこと。
その誠実さこそが、エンジニアとしての信頼をつくります。
「自分はコミュ力が低いから……」と
自分の可能性を閉ざさないでください。
エンジニアに必要なのは、誰かを笑わせる力ではなく、周りを「安心させる力」です。
それは、今の状況を正直に、誠実にシェアし続けることでしか得られません。
口下手でも大丈夫です。
技術に対して、そして自分の現状に対して誠実であること。
そんなあなたの「本当のコミュニケーションの技術」を、僕は全力で信じたいと思っています。