SESは、仕組みとしてはとても合理的な働き方です。いろんな現場を経験できますし、スキルの幅も広がります。柔軟な働き方もできます。選択肢が多い分、自分に合った環境を見つけやすいと言えます。
でも、この業界を見ていると、ひとつだけ考えさせられることがあります。
それは、同じ条件の案件でも、納得している人と不満を抱える人がいるということです。
年収も、技術スタックも、勤務地も同じ。なのに、ある人は「この案件を選んでよかった」と感じ、
別の人は「なんか違う」とモヤモヤを抱えています。
この違いは何なのでしょうか?
それを考えたときに、行き着いたのが「納得感」というキーワードでした。
納得感とは、「不満がないこと」ではありません。
納得感とは、「自分で選んでいる感覚があること」だと思っています。
外から見て良い環境かどうかよりも、自分の中で腹落ちしているかどうか。
それが、納得感につながるのではないでしょうか。
逆に言えば、どれだけ条件が良くても、「なんとなく」で選んでいる状態が続くと、
どこかでズレが生まれます。
では、どうすれば納得感を持って案件を選べるのでしょうか?
3つの問いに分けて考えてみたいと思います。
まず最初に整理すべきなのは、自分が今、何を一番大事にしたいのかということです。
よくあるパターン:
どれも正解です。
大事なのは、「全部を同時に叶えようとしない」ことです。
たとえば:
優先順位が明確なら、案件選びの軸がブレません。
逆に、「年収も上げたいし、技術も伸ばしたいし、でも残業は嫌だし…」と全部を求めると、
結局どれも中途半端になってしまいます。
実際にあった例:
「単価が少し低くても、Reactの実務経験が積める案件」を選んだケースがあります。
理由は、「次の転職でフロントエンドエンジニアとして評価されたいから」。
半年後、希望通りReact案件に移り、単価も15万円アップしました。
これは、優先順位が明確だったからこそできた選択です。
もし「とりあえず単価が高い方」を選んでいたら、結果は違っていたでしょう。
次に考えるべきは、目の前の案件が、自分のキャリアにどう影響するかということです。
ここでは、短期と長期の2つの視点で整理するといいでしょう。
たとえば:
「今回の案件は単価は低いけど、AWSの実務経験が積める。半年後にクラウド案件に移る布石になる」
こう言語化できていれば、納得感は生まれます。
逆に、
「とりあえず空いてたから入った」
「なんとなく条件が悪くなかったから」
こういう状態だと、後から「何のためにやってるんだっけ?」となりやすいです。
もうひとつの例:
「単価が高い」という理由だけで保守案件に入ったケースがあります。
3ヶ月後、「お金は入るけど、スキルが全然伸びない。このままだと次が厳しい」という声が上がりました。
結局、契約更新せずに別の案件に移りましたが、もし最初に「この案件の意味」を考えていたら、選択は変わっていたかもしれません。
納得感を持つために、意外と大事なのが「これは受けない」という基準を持つことです。
「選ぶ基準」だけでなく、「断る基準」があると、判断が明確になります。
もちろん、全ての条件が揃う案件なんてありません。
だからこそ、「ここだけは譲れない」というラインを決めておくことが大事になります。
もしこのチェックリストで「NO」が3つ以上なら、一度立ち止まって考える価値があります。
実際にあった話:
「単価が良い」という理由で常駐案件に入ろうとしていたケースがあります。
でも、話を聞くと「実はリモートじゃないと家庭の事情で厳しい」という状況でした。
結局、単価を少し下げてでもリモート案件を選びました。
「最初は迷ったけど、今は納得してる。無理して続けても絶対に破綻してた」という振り返りがありました。
断る基準を持っているからこそ、「選ぶ」ことに自信が持てるのです。
ここで一つ、誤解されがちなことがあります。
それは、納得感と満足度は別物だということです。
納得感とは、「この選択をした理由が自分の中で説明できる」状態。
満足度とは、「結果的にうまくいった」という後付けの感情です。
たとえば、年収を優先して激務の案件に入ったとします。
忙しいし、大変ですが、「自分は今、年収を上げるフェーズだから」と理解していれば、
納得感はあります。
逆に、なんとなく入った案件で、たまたま環境が良くて「ラッキーだった」と思っても、
それは満足度であって納得感ではありません。
納得感があれば、たとえ途中で大変なことがあっても、「でも自分で選んだから」と思える。
それが、長く働き続けるうえでの支えになります。
納得感は、「後から感じるもの」ではなく、「最初に設計できるもの」だと思います。
この3つを整理するだけで、
「なんとなく」が「自分で選んだ」に変わります。
SESは自由度のある働き方です。
だからこそ、流されることもできるし、主体的に選ぶこともできます。
どちらを選ぶかで、3年後、5年後は大きく変わります。
これは転職を勧める話ではありません。
どこに所属するかよりも、どう向き合うかのほうが大事だと思っています。
ただ一つだけ。
今の働き方を、自分は納得して選んでいると言えるか?
その問いを持ち続けられる人は、きっとどこにいても強い。
そう思っています。